理美容教育そのものを見直しへ

政府が進める規制緩和の流れを受けて、理容師・美容師の両資格を取得しやすくするための検討が厚生労働省で進められている。 理容学校、美容学校で学ぶ内容は双方、重複している部分が多く、両資格の取得に際しては重複部分を除外することで、より取得しやすくなる。また、これを機に理容師美容師教育そのものを見直すことが、2016年2月22日に開かれた第2回理容師・美容師の養成のあり方に関する検討会で示された。見直しの基本方針は、理容・美容の仕事の実践教育の重視、将来多様化が予想される美容業態への対応、少子化をふまえ後継者が資格を取得しやすくする、ことなどが事務局、各委員から発言された。現在、使用されているテキストのうち、「関係法規・制度」、「衛生管理」、「運営管理」については、理容と美容を読み替えるだけで内容は同じで、すでに一本化されている。また、理容と美容に分かれている「保健」、「物理・化学」、「文化論」は、・「保健」については、皮膚や頭髪など業務との関わりが深い分野に特化して1本化する、・「物理・化学」については、香粧品に特化して新たに「香粧品化学」とし、器具などは技術理論に移動する、・「文化論」については、デザインや色彩学を技術論に移動し、「文化論」として実質的に一本化する、というのが事務局案だ。この結果、「理容技術理論」「美容技術理論」はそれぞれに物理、デザインなどの内容が盛り込まれることになる。両資格取得に際しては、技術理論と実習を履修すれば足りる。さらに、各学校ごとに行われている選択必修科目についても、 選択必修科目とう名称はまぎらわしいので選択科目に変更するとともに、実践教育にふさわしい課目内容にし、時間配分などについても一定の枠組みを設けることが方向性として示された。また検討会では、業界側委員から、「関係法規・制度」テキストで現在、関係法規として扱われている「生営法」(*)について、理容師法・美容師法並みに重点的に取り上げるよう求める意見が強くあった。生営法は組合・連合会の根拠法で、学生のうちから組合組織への理解を深めてもらおうという思惑があるようだ。いづれにしても来年、理容師・美容師の養成のあり方が、大きく変わるのは間違いない。 今年の夏ごろまでに論点整理が行われ、来春改正される予定。