美容師法と理容師法

美容師法は
パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること。

理容師法
頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること。
とある。
しかし他の条項は、おおむね理容を美容と読みかえれば済む。

この定義にしても、成立当時は男性は理容店、女性は美容室に行くことを大前提にしていたが、後年、ジェンダレスの傾向が強くなってくると、現場では問題が生じてきた。
その一つがパーマ問題で、昭和50年はじめごろから、理容店で行われる男性パーマが目立つようになり、美容業界では業権侵害として摘発を行ったりした。

このことは、当時は美容業界・理容業界の業権問題、パーマ戦争などといわれ一般にも広く報道された。
このパーマ問題は、政治家らの仲介があって、昭和52年に美容・理容の代表が覚書を交わして決着した。

翌年には、この覚書にそった内容の厚生省局長通知が出された。
その内容は
理容師は
男性客に対し、仕上げに伴うコールドパーマはしてもさしつかえないこと(単独でのコールドパーマは違反。また女性客へのコールドパーマは違反だが、カットは可)

美容師は
男性客に対し、コールドパーマなどの美容行為の一環として行うカットはさしつかえないこと(男性客へのカットだけの行為は違反。女性客にはカット、コールドパーマとも可)
というもので、男女の別を基本にしたものだった。

この通知だと、パーマネントを行わない男性客のカットは違法行為になってしまい、2010年の現在でもこの通知はいきている。
ところが実態は美容室での男性カットは恒常的に行われており、すでにこの法解釈、法の運用は現状にそぐわない。

もともと、理容師法から分離した美容師法だが、定義の暗黙の大前提だった、男=理容店、女=美容室、がなくなりつつあるいま、理容の業、美容の業、つまり理容師法・美容師法を分ける意義はなくなりつつある。

業務独占の死守を訴える両業界だが、理容師美容師の統合は独占業務の拡充、利用者の利便にもプラスになる、といえる。

ただし、現在、理容師、美容師の組合組織などは別個であり、それぞれの業界事情もり、簡単にはいかない。