理美容店の復興は遠い 東日本大震災から2年

 ヒアリングしたのは、特に被害が甚大だった宮城県の石巻地区(石巻市、東松島市、女川町)、気仙沼地区(気仙沼市、南三陸町)の域内で営業を再開した生衛業者。理容13人。 調査期間は、平成25年1月15日~平成25年2月10日。

 同調査では、住民の移転などに伴う客数の減少に伴う売上の悪化、高台移転に伴う地代・家賃の高騰、低価格化の進展などが問題として指摘された。特に、低価格化の進展は理容美容で顕著で、「復興価格」と称して低料金で営業再開した店が多いという。

 また、「避難住民のなんでもしてもらう慣れ」も影響し、善意でボランティアを行う理美容業者が、被災した同業者の経営を圧迫している一面もある。

<インフラ関係>

石巻地区:津波被害のあった地区で、周りに住民が戻ることができないため、夜になると真っ暗になります。まるっきり人通りもなく、道路も凸凹のままです。

気仙沼地区:地盤沈下をした地区の地盤がまだそのままのところも多く、不安です。

石巻地区:街の復興計画が未だに定まらない。

<地代・家賃関係>

気仙沼地区:津波被害が甚大であった市中心部での営業が不可能。居住区域の制限の影響も大きい。周辺地域での営業再開を考えている人も多いが、営業できる土地が限られている。

気仙沼地区:津波被害の地区は、具体的な復興計画がまだなく、所有する土地の活用が不明。高台の地区は、テナント物件がほとんどない。

<人件費関係>

気仙沼地区:低価格店で求人しているが、地域内の理容師が元々少ないこと、また、若い理容師などはもっと手軽に働けるところ、都会の方へ流出してしまうため、給料を上げざるを得ないと思う。

<その他、自由記載>

石巻地区:高齢の経営者が多く、金銭面で事業を再建できない経営者も多い。

石巻地区:被災した土地が津波被害が甚大で危険区域指定を受けたため、再開が困難な現状です。どうするべきか結論を出しかねている。

気仙沼地区:津波被害を受けた地区で営業再開しているところは、近隣に住民が住むことができないため、遠方の地区(仮設等)から来てもらわなければならない。

石巻地区:店舗を移転しての営業再開は、資金的・年齢的に困難。

気仙沼地区:居住区域の街の整備が進まない、都市計画が進まず商店街を形成できない、人口流出が進んでいること。

石巻地区:水産関係やある程度の企業には、国や市からの補助制度があるが、理容業はなかなか支援がない感じがする。一から再開するには、1千万円以上の費用がかかり、これからの生活のための貯えも使い切り、不安がつきない。

石巻地区:人口の流失、雇用が安定しないため、経営環境が厳しい。

気仙沼地区:「復興価格」として低料金設定して営業再開した店が多いようですが、以前の水準に戻すときにどうするのか。 被災者はしてもらうことに馴れすぎてしまったようで、難しい点があります。