TPPと理美容業界

 理美容業は国内産業だから、TPPとは無関係だと思っている人がいるかもしれないが、そんなことはない。実際にTPPに参加した場合、業界が大きく変わるかもしれない。

 日本の理美容業は、大半が個人経営の小規模零細事業者だが、世界には大規模なサロンがあり、日本への進出を図っている。たとえば、米国の上場企業レジスなどは、世界に1万5,000サロンを展開している。世界2位のフランクプレボー(仏国)は2,700サロンだ。 レジスはヤマノHDと提携して日本へ進出しているが、他国ほどの実績を残していない。思うように進出できない理由として、日本の理容師美容師国家資格の存在が指摘される可能性がある。

 レジスには教育プログラムがあり、30を超すブランドに最適な理美容師教育を行っている。レジスは直営店も運営しているが、主にフランチャイズで事業を展開している。その事業展開の障害になるのが国家資格だとしたら、撤廃に向けた動きをするはずだ。民間レベルや州レベルでの資格はあるが、業務独占の国家資格であるのは日本ぐらいで、当然、加盟国内での平準化が求められよう。

 肝心の日本の理美容業界はTPPに対する反応はいまひとつだ。内容が不明なだけにそれも仕方ないが、TPPには理美容業界を根底から変える可能性があることを知っておきたい。